プライベートウォール☆ドライツーリング

東京都某所、Hさん邸のプライベートウォールを作成させていいただきました。

工期は5日間ほど、事前にクライミングホールドを取り付けるための穴あけと爪ナット打ち込みを施主様に約60枚分!を仕込んでいただきました。ありがとうございます。

広さ約15畳、本来なら広めなリビングにもなりうるスペースを全面、全方向ボルダリングウォールならぬドライツーリング用の壁にしてしまうのだから決意の程がすごい!

実際に工事に取り掛かって一番苦労した部分はといいますと、なんといっても作業場所の確保に尽きます。

クライミングの工事にとりまして作業スペースの確保は永遠のテーマと言っても過言ではない。上の写真でもわかるように室内壁沿いにウォールがくるので空けとかなければいけない。そして高所作業のためのローリングタワーの移動通路、材料置き場(今回はパネル60枚と米松4mx70本)、そしてパネルの切り場、角材の切り場。となかなかのせめぎ合いです。

そこで苦肉の策というか常套手段としてはローリングタワーを道具置き場にしてしまう。これがなかなか有効活用になります。且つ山積みのパネルをぎりぎりタワーが超えられる高さにとどめておく事。

角材置き場は外にせざるを得ず、工事3日目から雨予報。。。

CADで作図したとおりにひたすら切ってゆく。雨の来る前まで。

なるべく室内壁は傷つけたくないので、ビス(ネジとも言う)は緩傾斜のみとした。足元はアンカーボルトを打ちました。ビスは室内壁のボード裏の柱の位置に打ちます。

強傾斜などは建物全体の箱構造を利用した半自立式の構造。傾斜があればあるほど倒れようとする力がかかり、それを反対側の骨が建物全体に伝える、逆に傾斜の少ない部分は壁の厚みもないのでトラスを組めず、骨の剛性がとれないので仕方なく必要最小限のビス打ちでカバー。

強傾斜のトラスの様子。下のほうは12mmパネルでトラスを組む。パネルは折れには弱いが、ひっぱりには屈強なので十分。上部は交差するようにお互いのハネダシ(青い線の角材)を支えあい、より多くの三角形を構成すると強度が増す。そう、三角形は三点でのみ決まるので強いのだ。逆に四角形は平行四辺形を思い描くとわかるように動きやすいので対角線を入れて三角形2個にすると強くなる。

上の写真の赤い線の角材を通常タチと呼びますが、上部は梁で倒れないよう支持されており、下部はアンカーボルトで固定されてる。真ん中あたりは米松といえど単体では弱いのでトラスを組んでるという段取り。強傾斜のように壁の厚みが取れる場合はトラスの三角形が大きくなり、剛性も強く出来るが、緩傾斜ではそうも行かないのでタチの真ん中辺りは後ろからの支持が必要になるわけです。(ビス打ちで補強)

骨を組んでしまえばあとはパネル貼り。

このあたりから135度壁が90度に起きます。

角度の変わり目は引き割りと呼ばれる角度をつけて縦に引いた角材を付けていく作業。

パネルがある程度貼れてくれば、山積みも小さくなりタワーの移動も少しは楽になる。

ボルダリングジム案件などの倉庫物件ではH鋼構造になってることが多いのでLアングル(鉄骨)を使用してトラスを組みます。

木材でトラスを組んで作る場合は今回のような家屋にウォールを作るケース以外には

テナント案件などで下地がRCであったり(鉄筋コンクリート)するケースです。

一見しますと鉄は素人には手出しが出来ず(使う道具の種類も多くなるので)木だと日曜大工の延長で出来そうな気がするのが率直なところだと思います。ただ実際には個人的には木のほうがはるかに頭を使い、いつもパンクしそうになってます。

ボルダリングジムは増えた物のドライツーリングのトレーニングが出来る環境はまだ日本では少ないらしいので、


自宅にドラツー仲間を呼んでのセッションも思い描けますね!

キャンパウォールもあり夢の城の完成。

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