ツイキクライミングクリエイターではプライベートウォールの設計・施工を承っていますが、中には「自分でボルダリングのウォールを作ってみたい!」「自分で作ったほうがお得かも?」と思われる方もいるのではないでしょうか。

でも、クライミングウォールを作るにはどんな材料が必要で、どんな構造にすれば十分に強度を出せるのかなど、わからないことも多いかと思います。

そこでこのページでは、プロの目から見ても安心で、比較的簡単に製作できるプライベートウォールの作り方をご紹介したいと思います。

①憧れのプライベートウォールを我が家に!
自作クライミングウォールのメリットとデメリット

プライベートウォールを作成するにあたってまず大事なのが、自分で作るメリットとデメリットをしっかりと認識することです。

自作のメリットとしてまず思いつくのは、業者さんにオーダーするよりも安い料金でできるという点です。ですが必要な材料を計算して、買い出しに行って、木材をカットして組み立てて…という工程は時間もかかりますし、家でのプライベートウォール作りが忙しくてトレーニングの時間や岩場に行く時間が取れない!なんて本末転倒な結果になってしまうことも。

プロに頼むと工事費はかかりますが、その分早く、安全なものが出来上がります。また、プロの目から見てそのスペースに最適な設計・施工をしてくれるので、後で「ここはこうすればよかった!」と後悔することも少なくて済みます。

これらのメリット・デメリットを認識した上で、時間はかかってもいいから費用を抑えたいという方や、プライベートウォールを作る過程も楽しい!と思える方は自作に挑戦してみるのもいいかもしれません。逆に、お金は多少かかってもいいからすぐに自宅でトレーニングを始めたい、という方やより安全なプライベートウォールが欲しい!という方は、プロに頼んだ方が満足のいくものができるかと思います。

②クライミングウォールの作り方

それでは、6畳(奥行き3600mm、幅2700mm、天井高2400mm)の部屋を例として、どのような構造でプライベートウォールを作っていけばいいのか、ご紹介します。

賃貸などで壁にビス(ネジ)を打ち込むことができなくても、この方法であればしっかりとしたウォールを設置することができます。

単管や直交クランプを利用して壁を作る方法もありますが、今回は垂木やベニヤ板などの木材だけで作れる方法を見ていきましょう。

ウォールづくりを始めるにあたっては、最初にしっかりとした図面を引くことが大切です。今回は幅2700mm、高さ2400mm、壁の傾きは115度を想定しました。

(完成イメージ)
(横から見た図面)
(上から見た図面)

まずは垂木を「門がまえ」のような形状に組んだものを、部屋全体に張り巡らせていきます。図のように部屋自体の構造でウォールを支える骨組みを作ることにより、人がぶら下がったり登るのに十分な強靭性を確保することができます。たとえばダイナミックなボルダームーブをして壁に強い負荷がかかっても、部屋に元々入っている頑丈な柱がクライミングウォールを支えるので、安全に登ることができます。

(門構えのイメージ)

この「門がまえ」に、さらに図のように木材で斜めと横方向に補強をして、三角形の「トラス構造」を作ります。トラス構造は設置したい壁の角度に合わせて作ります。この構造だと、薄かぶりはもちろん135度くらいの強傾斜壁までお好みで壁の傾きを作ることができます。

後は作ったトラス構造の角度に合わせて、コンパネなどの板材を張り付ければ完成です!

コンパネにはあらかじめホールドやハリボテを留めるための穴を空けて、爪ナットをはめ込んでおきます。

(パネルを貼り付けたところ)

もし垂直の壁を作りたいという場合は、壁の上部にトラス構造を作る必要があります。また構造的に、壁の下部は手前に引く力に対して弱くなるので、使用に当たっては注意が必要です。

垂壁や、強傾斜壁では他にも注意すべきことがあるので、ご不安な方はこちらのリンクからツイキクライミングクリエイターにお問い合わせください。

クライミングウォールをDIYする際には、インパクトドライバーやノコギリ、差し金など、いくつか工具が必要となります。ほとんどの工具はホームセンターで購入することが出来ます。

③必要な材料と費用はこのくらい

②で紹介したプライベートウォールであれば、下記の材料を用意すれば作ることができます。どのような木材を使うかにもよりますが、材料費は合計で6万円ほどになります[

◾パネル 9枚(900×1800×18mm、1枚約4,000円=36,000円)

クライミングウォールパネルには、ベニヤ板を使用します。一般的によく使われているのはコンパネ(900×1800mm)もしくは普通合板、構造用合板(910×1820mm)とよばれるボード状の板材です。どちらもホームセンターで手に入れることができますが、15mm以上のものは売られているお店が限られてきます。コンパネの厚みはクライミングジム用であれば厚い18mm(4,000円)が一般的ですが、プライベートウォールであれば15mmでも可能です。12mmでは爪ナットがパネルの表までギリギリ出てきてしまうので、ホールドがかなり回りやすくなってしまいます。それを承知の上で各ホールドに回り留めをきちっと入れて、さらに壁の補強もさらにしておけば可能ですが、15mm以上の厚みのあるものを使用した方が楽です。

なお、厚みのある合板では、ランバーコアなどもホームセンターで見かけますが、強度が足りないので不可です。

(メモ)小さなお子様がいらっしゃる方、シックハウス症候群などが気になる方

パネルを選ぶ際には、合板に含まれるホルムアルデヒドも気にされてみるといいかもしれません。合板の規格はスリースターやフォースターがあります。フォースターの方が低ホルムアルデヒド建材(有害物質であるホルムアルデヒドの発散量が少ない)ですので、より安心といえます。コンパネなどはスリースターになります。

◾垂木 18本(長さ3660mm、1本800円=14,400円)

2×4材、もしくはあまり置いているお店は多くありませんが、長い木材が必要な場合は米松(1本約2,000円)を使います。2×4材はホームセンターで、米松は材木屋さんで手に入れることができます。

◾爪ナット432個(1個20円、パネル1枚あたり48個×9=8,640円)

ホールドやハリボテをクライミングウォールパネルに固定するための金具です。コメリなどのホームセンターで手に入れられるほか、Amazonなどでも販売されているので簡単に注文することができます。クライミングホールドの固定用として一般的なタイプのサイズは「M10」になります。

◾コーススレッド 適宜(1箱400本入りで500円程度)

コーススレッドは、簡単にいうとビス(木ネジ)のことです。垂木同士を組み合わせたり、板材を垂木に張り付けたりする際には、コーススレッドを打ち込むことで木材同士を固定します。こちらもホームセンターやAmazonなどの通販で購入が可能です。

クライミングウォールが完成した後に取り付けるホールド、ボルト、ハリボテ、ウォールの下に敷くマットもしくはクラッシュパッドなど、各カテゴリーの商品価格を知りたい方はこちらのリンク★もご覧ください。

④クライミングウォールを自作するときに陥りがちな落とし穴

では実際にクライミングウォールを作る際には、どんなことに注意する必要があるのでしょうか? まず大事なのは、材料がどのくらい必要になるかをしっかり計算することです。途中で材料が足りなくなっては買い出しに行き…ということを繰り返していると、当初の想定より時間もお金もかかってしまいます。

次に大変なのが、「門がまえ」や補強する木材の寸法は狂いなくぴったり合わせないと、ガタ付きが出たり材料同士がうまくはまらないという点です。自作なので多少の歪みは仕方ないかもしれませんが、安全面の観点から考えると、なるべく正確な寸法で木材を組み合わせ、十分な強度を確保したいところです。1cm、1mmの歪みを修正するのに何時間もかかってしまった…なんていうのも、「プライベートウォールの自作あるある」な話だったりします。

⑤やっぱり確実なのはプロの仕事です

もしも同じ規模のプライベートウォールをプロの業者にオーダーする場合、材料費にプラスして工事費・人工費などが加算されます。私たちツイキクライミングクリエイターの場合では、今回ご紹介した規模の壁であれば、材料費6万円、工事費・人工費10万円からご依頼を承ることができます(交通費別途、2人で1日作業をした場合。壁の規模やご注文によって価格は変動します。また、マットやホールド代は別途必要です)。確かに自分で作るより費用はかかってしまいますが、たった1日で使いやすく安全な壁をマイホームに建てられる!と考えれば、結果的にお得といえるかもしれません。

プライベートウォール作りのお問い合わせはこちらからどうぞ。