本ページでは、クライミングウォールの施工の流れについてご紹介いたします。クライミングウォールの用途は、ボルダリングジムやプライベートジムなど様々な種類があります。基本的な流れは下記のようになります。
- 打ち合わせでお客さまのご希望をうかがい、最適な設計をご提案
- 設計に基づいて、クライミングウォールを施工
- 出来上がった壁でルートセット
ここはボルダリングジムの施工事例をもとに、クライミングウォールができるまでの工程を写真付きでご紹介します。
ウォールをオーダーする際のポイントや、楽しんで登ってもらう壁を作るためにはどんなことに気をつけたらいいのか?などもあわせてお伝えします。
打ち合わせ
設計に入る前に、まずはお客さまと詳しい打ち合わせを行います。施工する現場を下見させて頂いた上で、
- どんな施設にしたいか
- 想定するユーザーの客層は?
などをおうかがいすることで、お客さまのニーズを具体化していきます。
例えば、初めてクライミングをするビギナーや初級者を対象にしたものを作りたいのか、それとも上級者がハードなトレーニングをするための壁を作りたいのかによって、壁の傾斜は大きく変わってきます。また上級者向けでも、コンペに勝つためなのか、岩登りが上手くなるためなのか、などトレーニングの目的によって最適な形状は変化します。
施工したクライミングウォールをどんな風に使いたいか、どんな人に登ってほしいか、イメージを膨らませておくことが大切です。これまでの施工経験・実績をもとに、最適なウォールをご提案させていただきます。
クライミングウォールはボルダリングジムや個人宅のプライベートウォールだけでなく、イベント会場やリハビリ施設などにも導入実績があるほか、幼児・園児たちの遊具などとしても使われています。
主な施工事例は施工事例のページから御覧ください。
設計
打ち合わせでうかがったご希望をもとに、施工スペースを最大限に有効活用した設計を考えていきます。設計は3次元CAD(3DCAD)を用いて行います。3DCADを使うことによって、
- 事前に仕上がりの正確なイメージ図が見られる
- 必要な材料が正確に計算できるので、コストも抑えられる
- クライミングウォールがどれくらい場所をとるのかわかるので、ウォール以外のスペースの計算が正確にできる
などのメリットがあります。壁を作ったはいいけれど、休む場所も着替える場所もない!というような失敗も、未然に防ぐことができます。
さて、クライミングウォールを最も特徴づけるのは、壁の傾斜の強さです。特に商業施設ではさまざまな傾斜の壁をつくり、初心者からトップクライマーまで多くの人々が楽しんで登れる壁にしたいものです。
クライミング初心者は傾斜の緩い壁を、中・上級者は傾斜が強い壁を好む傾向がありますが、緩い傾斜で上級者が苦戦するようなルートをセットすることもできます。
また壁は傾斜をつけるだけでなく、半球状にしたり起伏をつけることにより、より立体的で面白い課題を作ることができます。
さらに独特な形状の壁を作ることでほかのジムとは違った個性を出すこともできますが、壁の形状に個性を持たせすぎると実際に登れる面が限られてしまったり、どんな課題を作っても動きが似てしまうなど思わぬ落とし穴もありますのでご注意ください。
またクライミングウォールは、人がぶら下がり、落下することを前提とした施設なので、しっかりとした強度を確保することが重要です。ユーザーがどのようにウォールを利用するのか、クライミング中の動線も含め、安全面に気を配った設計をします。
CADの図面例
壁施工
材料搬入
設計図が出来上がったら、いよいよ工事初日です。まずは材料を搬入するところから始めます。クライミングウォールにはベニヤ板(ラワン合板)を使うことが多いですが、FRP製やコンクリート製のものもあります。
安全に作業を進められるよう、躯体とウォールを結びつける鋼材、ウォールの下地となる垂木、壁材のラワン合板などをきちんと整理して並べておきます。
柱立て
鋼材で柱を建てていきます。鋼材の柱は躯体にしっかりと固定をして、壁の強度を確保します。並行してラワン合板に爪ナットを入れ、ホールドを取り付けるための準備をしていきます。まだまだ先は長いです。
パネル貼り
柱が立ったら、CADの図面から割り出した壁の形状に合わせてラワン合板を切断し、つなぎ合わせて貼っていきます。3D形状のものになるとこの作業がとても難しいのですが、腕の見せ所でもあります。
ラワン合板とラワン合板の継ぎ目には段差が出ないように、端面に角度をつけて切断することもあります。細かい部分ですが、仕上がりの美しさに影響するので気が抜けません。
3−4.マット設置
ラワン合板を一通り貼り終えたら、マットを設置します。マットはクライマーの落下時に安全を確保する重要な設備です。クライミングウォールの形状にあわせて、専用形状のマットを作ります。ここまで来ると急速に進んだ感がありますね!
ルートセット
最終的に裏の骨組を補強して、いよいよルートセットに移ります。国内外で数々のルートをセットしてきた経験をもとに、お客さまのニーズに合った課題をセットしていきます。
ホールドを並べているときはかなりワクワクする瞬間でもありますが、この作業は指皮と体力との勝負だったりもします…。ホールドをつけ終わったら、テープを貼って課題設定をします。
壁に起伏がほしい場合はハリボテを足して、より立体的な課題を設定することも可能です。詳しくはハリボテのページをご覧ください。
ホールドを並べているときは、かなりワクワクする瞬間でもあります。
完成!
ついにクライミングウォールが出来上がりました。末長く楽しんで登っていただければうれしいです。
壁をリニューアルしたい・形状を変更したいなどのご要望が出てきましたら、ご気軽にご相談ください。
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